水道水・地域

京都市の水道水は飲める?まずい?99%が琵琶湖の水の正体を公式で検証

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

こんにちは、『ラクして暮らす』運営者のやすです。

このブログでは、各社の公式サイトから料金を実費ベースで計算して比較しています。「契約しない方がいい」という結論も、遠慮なくそのまま書きます。

ずぼらさん
ずぼらさん

京都って名水の街でしょ? なのに水道水はまずいって聞くんだけど、どっちなの? 引っ越してきたばかりで、そのまま飲んでいいのか分からなくて…。

やす
やす

いい疑問だね。じつは「京の名水」と、キッチンの蛇口から出てくる水は、まったく別の水なんだ。この記事は京都市上下水道局の公式ページと、年に1回公開されてる水質試験の年報を直接読んで整理したよ。2024年の夏に一度だけ起きた出来事まで、隠さず全部書くね。

先に結論をお伝えします。

京都市の水道水は、飲める水として各家庭に届けられています。

硬度は40程度の軟水で、公式ページには「非常にまろやかでおいしい水です」とまで書かれています。

ただし、2024年の夏に一度だけ、「におい」の項目で水質基準を超えた期間がありました。

そしてそれを発表したのは、ほかでもない京都市自身です。

この記事でわかること
  • 京都市の水道水の硬度(40程度の軟水)と、原水の約99%が琵琶湖だという事実
  • 「京の名水」と蛇口の水が、そもそも別の水系統である理由
  • 「まずい」と言われる3つのにおいの正体(京都市の公式回答つき)
  • 2024年夏に基準を超えた一件の、正確な数字と経過
  • 気になる人が0円でできることと、お金をかける場合の選択肢

それでは、くわしく見ていきましょう。

目次
  1. 1.結論:京都市の水道水は飲める。ただし夏だけ、においが出る年がある
  2. 1.1.京都市の水道水の硬度は40程度の軟水
  3. 1.2.原水の99%は琵琶湖。「京の名水」とは別の水系統
  4. 2.「名水の都」なのに、蛇口の水は99%が琵琶湖という事実
  5. 2.1.琵琶湖疏水は明治23年の国家事業。今も現役で、2025年に国宝になった
  6. 2.2.御香水も伏見の酒も「地下水」——京都市自身が水道水と分けて説明している
  7. 3.「まずい」と言われる3つの理由を、京都市の公式回答で答え合わせする
  8. 3.1.①カルキ臭の正体は塩素。蛇口で0.1mg/L以上は法律の義務
  9. 3.2.②かび臭の正体は琵琶湖のプランクトン。公式が原因生物と時期まで書いている
  10. 3.3.③生ぐさ臭は春先(4月下旬〜5月中旬)のウログレナ
  11. 3.4.においの正体は3つとも公式が説明ずみ。煮沸5〜6分で低減できる
  12. 4.2024年夏、京都市の水道水は一度だけ基準を超えた(公式発表)
  13. 4.1.何が起きたのか(原水1,400ng/L → 給水栓35ng/L → 8月15日〜9月4日)
  14. 4.2.なぜ給水を止めなかったのか=「性状(におい)に関する項目」だから
  15. 4.3.原因は粉末活性炭の注入能力不足。京都市は設備を増強すると公表している
  16. 5.正直に言います:京都市が公式に書いていないこと
  17. 5.1.①浄水場ごとの硬度の違い
  18. 5.2.②硬度40がいつの実測値なのか
  19. 5.3.③残留塩素の実測レンジ
  20. 5.4.④老朽水道管の話
  21. 5.5.⑤蹴上・松ケ崎の水源が琵琶湖疏水100%かどうか
  22. 5.6.⑥「そのまま飲めます」という直接の明言
  23. 6.それでも気になる人の選択肢
  24. 6.1.まず0円でできること(煮沸5〜6分・冷やす)
  25. 6.2.浄水器とウォーターサーバーはどう違うのか
  26. 6.3.一人暮らしなら、そもそも必要かどうかから考える
  27. 7.まとめ:99%が琵琶湖の水でも、京都の水道水は飲める

結論:京都市の水道水は飲める。ただし夏だけ、においが出る年がある

結論から言うと、京都市の水道水は、ふつうに飲む水として届けられています。

京都市上下水道局は公式のQ&Aの中で、「水道の水は安全です」と案内しています。

これは、浄水器の訪問販売に注意を呼びかける回答の中に出てくる一文です。

京都市上下水道局「水道なんでもQ&A」から抜粋(2026年8月1日確認)

そのうえで京都市は、毎年「水質試験年報」という資料を公開しています。

どこで何を測ったか、基準を超えたことがあったかどうかまで数字がそのまま載っている資料で、この記事はそれと公式ページを読みながら書いています。

そして先に、いちばん大事な但し書きを置いておきます。

京都市の水道水は、夏に「かび臭」が出やすい水です。

2024年の夏には、そのにおいのもとになる物質が、一度だけ水質基準を超えました。

この一件については、記事の後半でまるごと1章使って、数字と経過をそのままお伝えします。

京都市の水道水の硬度は40程度の軟水

まず、いちばん検索されている「硬度」から答えます。

京都市の水道水は、硬度40程度の軟水です。

硬度とは、水にふくまれるカルシウムとマグネシウムの量を表した数字のこと。

この数字が低いほど「軟水」で、口当たりがまろやかになると言われています。

京都市上下水道局は公式ページで、自分たちの水をこう表現しています。

「硬度40程度の軟水であり,非常にまろやかでおいしい水です」。

京都市上下水道局「京都市の水道水の硬度」から抜粋(2026年8月1日確認)

ここで1つ、正直に補足しておきます。

この「40程度」という数字は、京都市が示している代表値です。

公式ページには、いつ測った値なのかは書かれていません。

ですのでこの記事でも、「2026年の実測が40だった」という書き方はしません。

あくまで「京都市が自分たちの水の目安として公表している数字」として読んでください。

そのうえで数字の目安をお伝えすると、硬度40は日本の水道水の中でもやわらかい部類で、お茶やコーヒー、だしを取る和食と相性がよいと言われるレンジです。

原水の99%は琵琶湖。「京の名水」とは別の水系統

次が、この記事の中心にある事実です。

京都市の水道水の原水は、約99%を琵琶湖疏水(びわこそすい)を通じて琵琶湖から取っています。

残りの約1%が、桂川や地下水などです。

京都市上下水道局「水道なんでもQ&A」から抜粋(2026年8月1日確認)

つまり、京都市に住んでいる人が毎日使っている水は、そのほとんどが琵琶湖の水だということです。

「京都=名水の街」というイメージからすると、ちょっと意外ではないでしょうか。

なお、京都市の別のページには、こういう書き方がされています。

「京都市の水道水(山間部の水道水を除く)は,琵琶湖の水を水道原水としています」。

京都市上下水道局「水道水の水質管理」から抜粋(2026年8月1日確認)

京都市には、市街地とは別に、独自の水源を使っている山間地域があります。

そちらは琵琶湖の水ではないので、この記事で扱う「99%」は市街地の話だと思ってください。

その市街地の水をつくっているのが、蹴上(けあげ)・松ケ崎(まつがさき)・新山科(しんやましな)の3つの浄水場です。

浄水場

施設能力(1日あたり)

ろ過方式

蹴上

198,000 ㎥

急速砂ろ過式

松ケ崎

173,000 ㎥

急速砂ろ過式

新山科

362,000 ㎥(市内最大)

急速砂ろ過式

京都市全体の施設能力は738,778㎥/日(令和5年度末時点)で、給水人口は約144万人。

山間地域には、これとは別に18か所の浄水場があります。

消毒には次亜塩素酸ナトリウム、水の濁りを固めて沈める凝集剤にはポリ塩化アルミニウムが使われています。

京都市「令和6年度水質試験年報」京都市上下水道局「京都市上下水道局における令和6年度のかび臭発生状況とその対応について」(環境省 水道における微生物問題検討会 提出資料)から抜粋(2026年8月1日確認)

ここで、あとの話につながる大事なポイントを1つだけ先に置いておきます。

京都市の3つの浄水場は、砂の層で水をこす「急速砂ろ過」が基本のつくりです。

年報には「高度浄水処理」という欄があり、そこには「粉末活性炭」と書かれています。

これは、かび臭が出たときに炭の粉を注いで、においを吸着させるやり方です。

大阪市のように、オゾンと粒状活性炭の層に水を常時通しつづける方式とは違います。

年報には、調査研究として「高度浄水処理の検討」を行うという記載もあります。

京都市「令和6年度水質試験年報」から抜粋(2026年8月1日確認)

つまり京都市は、「常にフル装備でにおいを取る」のではなく、「においが出たときに炭を入れて対応する」という構えだということです。

この構えが、2024年夏の一件と深く関係してきます。

京都市の水道水データカード。原水の約99%は琵琶湖疏水を通じた琵琶湖の水、残り約1%は桂川・地下水等。硬度40程度の軟水。市街地の浄水場は蹴上・松ケ崎・新山科の3カ所で給水人口は約144万人

「名水の都」なのに、蛇口の水は99%が琵琶湖という事実

ここからは、「なぜ名水の都なのに琵琶湖の水なのか」を整理します。

結論を先に言うと、これは京都が名水を失ったという話ではありません。

「飲み水の水道」と「京の名水」が、最初から別の系統として並んで存在している、という話です。

琵琶湖疏水は明治23年の国家事業。今も現役で、2025年に国宝になった

京都の水道を語るうえで外せないのが、琵琶湖疏水です。

琵琶湖疏水は、明治23年(1890年)に竣工した人工の水路です。

琵琶湖の水を、山にトンネルを掘って京都まで引いてくる、という壮大な工事でした。

この水は、水道だけでなく、水力発電・舟運・かんがい・庭園・防火用水と、いくつもの役割を担いました。

明治維新で都としての地位を失い、衰退の危機にあった京都を、もう一度立て直すための都市基盤だったのです。

日本遺産 琵琶湖疏水 公式サイト(京都市)から抜粋(2026年8月1日確認)

そして、この疏水には近年、大きなニュースがありました。

2025年5月16日、国の文化審議会が琵琶湖疏水の施設を国宝・重要文化財に指定するよう答申しました。

同じ年の8月27日付の官報告示により、大津市から京都市にかけての24カ所が重要文化財に、そのうち5カ所が国宝に指定されています。

答申では、こう評価されました。

「西洋技術の習得過程にあった明治中期において、当時の土木技術の粋を集めて築かれ、世界的に高い評価を得た、類い希なる構造物であり、明治日本における都市基盤施設の金字塔である」。

日本遺産 琵琶湖疏水 公式サイト(京都市)から抜粋(2026年8月1日確認)

琵琶湖疏水は、文化庁の日本遺産にも認定されています。

ここでおもしろいのは、この施設が「昔の遺跡」ではないということです。

明治につくられた水路が、130年以上たったいまも現役で、京都市民の飲み水を運びつづけています。

文化財に指定されたのは施設であって、水そのものが国宝になったわけではありません。

それでも、「毎日使っている水道の設備が、そのまま国宝でもある」という街は、そう多くないはずです。

ずぼらさん
ずぼらさん

えっ、京都の水道水って琵琶湖の水だったの…!? 名水の街だと思ってたのに、ちょっとびっくり。

やす
やす

びっくりするよね。でもね、その水を運んでる琵琶湖疏水の施設が、2025年に重要文化財になってね。そのうち5か所は国宝なんだ。明治の人が山にトンネル掘って引いてきた水を、いまも飲んでるってこと。ロマンあると思わない?

ちなみに、同じ琵琶湖の水を飲んでいる街は京都だけではありません。

神戸市も、水道水の多くを琵琶湖・淀川水系から受け取っています。

そちらも「六甲の名水」というイメージとのギャップがある街なので、あわせて読むと構図がよく見えます。

▶ 神戸の水道水はまずい?飲める?「六甲の水」の正体を公式で検証

御香水も伏見の酒も「地下水」——京都市自身が水道水と分けて説明している

では、「京の名水」はどこへ行ったのか。

答えはシンプルで、名水は地下にあります。

環境省の名水百選のうち、京都市内で選ばれているのは御香水(ごこうすい・御香宮神社)ただ1つです。

認定は1985年(昭和60年)1月。

御香宮神社「御香宮神社の由緒」から抜粋(2026年8月1日確認)

この御香水は、境内から湧く地下水です。

そして、京都の名水といえば欠かせない伏見の酒も、地下水でつくられています。

伏見の酒造用地下水(伏水)は、カルシウムやマグネシウムをほどよく含んだ「中硬水」と説明されています。

月桂冠「女酒と男酒、軟水と硬水」から抜粋(2026年8月1日確認)

数字を並べると、違いがはっきりします。

  • 京都市の水道水 … 硬度40程度(軟水)
  • 伏見の酒造用地下水 … 「中硬水」(水道水よりミネラルが多め)

同じ京都市内でも、蛇口から出る水と、酒蔵が汲んでいる水では、そもそもミネラルの量が違うのです。

そして重要なのは、この住み分けを京都市自身が説明しているということです。

京都市の文化史のページでは、井戸水(地下水)と上水道(水道水)が別のカテゴリとして紹介されています。

そこにはこう書かれています。

「現在でも京都では,良質な井戸水を利用した豆腐・湯葉・生麩などの生産が盛んです」。

京都市「フィールド・ミュージアム京都 文化史14 京の名水」から抜粋(2026年8月1日確認)

伏見にはいまも多くの酒蔵が集まり、地下水で酒を仕込んでいます。

豆腐・湯葉・生麩も、地下水の文化です。

いっぽうで、家庭の蛇口まで大量に水を届けるインフラは、琵琶湖疏水が担っています。

つまり京都は「名水を失った街」ではなく、名水(地下水)と水道(琵琶湖の水)を用途で使い分けてきた街だということです。

ちなみに、京都三名水の1つとされる佐女牛井(さめがい・醒ヶ井)は、戦後の堀川通の拡張で埋められ、いまは石標だけが残っています。

京都市「フィールド・ミュージアム京都 文化史14 京の名水」から抜粋(2026年8月1日確認)

名水の街というイメージも、水道の実態も、どちらも京都の本当の姿というわけです。

「まずい」と言われる3つの理由を、京都市の公式回答で答え合わせする

ここからは、「京都の水道水はまずい」という声の中身を分解します。

ありがたいことに、京都市上下水道局は公式Q&Aで、においの種類ごとに原因を書いてくれています。

ネットの噂ではなく、公式の回答で答え合わせをしていきましょう。

①カルキ臭の正体は塩素。蛇口で0.1mg/L以上は法律の義務

1つ目が、いわゆるカルキ臭です。

これは、水道水に入っている塩素のにおいです。

京都市によると、水道法で塩素消毒が義務づけられており、蛇口のところで0.1mg/L以上の遊離残留塩素を検出しなければならないと定められています。

京都市上下水道局「水道なんでもQ&A」から抜粋(2026年8月1日確認)

ここは誤解されやすいところなので、はっきり書いておきます。

塩素は「入ってしまっている不純物」ではありません。

蛇口に届くまで水を衛生的に保つために、法律で「入れなさい」と決められているものです。

つまりカルキ臭は、消毒がきちんと効いている証拠でもあります。

とはいえ、においが気になる人がいるのも事実なので、対処法はこの章の最後にまとめます。

②かび臭の正体は琵琶湖のプランクトン。公式が原因生物と時期まで書いている

2つ目が、京都の水道水を語るうえで避けて通れない「かび臭」です。

原因は、琵琶湖にいる植物性プランクトンです。

プランクトンが増えると、においのもとになる物質をつくり、それが原水に混ざります。

京都市のQ&Aがすごいのは、原因になる生き物の名前と、増える時期まで書いていることです。

原因になる生き物

増えやすい時期

フォルミジウム

6月頃

アナベナ

8月〜10月頃

オシラトリア

8月〜10月頃

京都市上下水道局「水道なんでもQ&A」から抜粋(2026年8月1日確認)

表を見てのとおり、かび臭が出やすいのは初夏から秋にかけてです。

「夏になると京都の水がなんか変」という体感には、ちゃんと理由があったということです。

③生ぐさ臭は春先(4月下旬〜5月中旬)のウログレナ

3つ目が、生ぐさ臭です。

こちらも原因は琵琶湖の植物性プランクトンで、名前はウログレナ。

増える時期は、4月下旬から5月中旬頃だと公式に書かれています。

京都市上下水道局「水道なんでもQ&A」から抜粋(2026年8月1日確認)

つまり京都の水道水のにおいは、季節でキャラクターが変わります。

  • 春先(4月下旬〜5月中旬)… 生ぐさ臭(ウログレナ)
  • 初夏〜秋(6月・8月〜10月)… かび臭(フォルミジウム、アナベナ、オシラトリア)
  • 通年 … カルキ臭(塩素)

逆に言えば、冬から早春にかけては、においの原因になるプランクトンの話がほとんど出てきません。

においの正体は3つとも公式が説明ずみ。煮沸5〜6分で低減できる

ここが、この章のいちばん大事な答え合わせです。

まずカルキ臭のもとである塩素は、さきほど見たとおり、法律で「入れなさい」と決められているものでした。

そして残る2つについては、京都市がはっきり書いています。

生ぐさ臭・かび臭のどちらについても、京都市は公式に「健康への影響はありませんのでご安心ください」と明記しています。

におい=危険、ではないということです。

そして、対処法まで公式に書かれています。

「沸騰した後、蓋をとって5〜6分間煮沸すると、臭気を低減することができます」。

ただし、こういう注意もセットで書かれています。

「一度沸騰させた水道水は消毒効果がなくなるので、お早めに御使用ください」。

京都市上下水道局「水道なんでもQ&A」から抜粋(2026年8月1日確認)

ポイントは「蓋をとって」の部分です。

蓋を開けたまま5〜6分ぐつぐつさせることで、においのもとを飛ばす、という考え方ですね。

そのかわり塩素が抜けるので、作り置きには向きません。

その日のうちに使いきるのが前提です。

ずぼらさん
ずぼらさん

夏になると水が気になるって声、けっこう聞くけど…あれって気のせいじゃなかったんだ。

やす
やす

気のせいじゃないよ。しかも京都市は「何月にどのプランクトンが増えるか」まで公式に書いてるんだ。ここまで公開してくれてるのは、正直ありがたいよ。

2024年夏、京都市の水道水は一度だけ基準を超えた(公式発表)

ここからは、この記事の心臓部です。

数字に入る前に、大事なことを2つ先に置かせてください。

1つ目は、この出来事が誰かの暴いたスクープではないということです。

京都市自身が広報発表し、年報にも記録し、国(環境省)の検討会にも資料として提出しています。

2つ目は、基準を超えたのが「におい」に関する項目だということです。

健康への影響が出たという話ではありません。

そのうえで、何が起きたのかを正確に見ていきましょう。

何が起きたのか(原水1,400ng/L → 給水栓35ng/L → 8月15日〜9月4日)

2024年(令和6年)8月、琵琶湖の水に含まれるジェオスミンという物質の濃度が急上昇しました。

ジェオスミンは、かび臭のもとになる物質です。

浄水場に入る前の原水では、最大1,400ng/Lを記録しました(8月17日・18日・20日・21日・31日)。

これは、水道水の水質基準にジェオスミンが設定された平成16年以降で、平成16年9月29日の1,400ng/Lに並ぶ過去最高の値です。

そして、家庭に届く側の数字がこちらです。

給水栓(蛇口)での最高値は35ng/Lでした。

水質基準は10ng/L以下なので、これを超えていたことになります。

記録されたのは8月19日、蹴上浄水場の場内にある給水栓です。

基準を超えた日があったのは、8月15日から9月4日までの間でした。

京都市は8月15日に「水道水の臭気について」という広報発表を行い、9月25日に終報として、水質基準に適合したことを発表しています。

京都市「令和6年度水質試験年報」京都市上下水道局「京都市上下水道局における令和6年度のかび臭発生状況とその対応について」(環境省 水道における微生物問題検討会 提出資料)から抜粋(2026年8月1日確認)

この夏、かび臭に関する問合せは8月から9月で81件ありました。

いっぽう、水道法第18条にもとづく水質検査の請求は、1件もありませんでした。

原因になった生き物の名前も、公式に特定されています。

Dolichospermum minisporum(ドリコスペルマム・ミニスポラム/旧名アナベナ・ミニスポラ)という種です。

令和2年の夏に琵琶湖の南湖で初めて観察された、30℃を超える高い水温でも増えることができるタイプだと説明されています。

京都市上下水道局「京都市上下水道局における令和6年度のかび臭発生状況とその対応について」(環境省 水道における微生物問題検討会 提出資料)から抜粋(2026年8月1日確認)

なぜ給水を止めなかったのか=「性状(におい)に関する項目」だから

ここで、多くの人が引っかかるはずです。

「基準を超えたのに、なぜ水を止めなかったの?」と。

この答えも、公式資料にはっきり書かれています。

「性状(におい)に関する項目であることから、給水を継続した」。

京都市上下水道局「京都市上下水道局における令和6年度のかび臭発生状況とその対応について」(環境省 水道における微生物問題検討会 提出資料)から抜粋(2026年8月1日確認)

水質基準の項目には、大きく分けて2つの性格があります。

1つは、健康に関わる項目。

もう1つが、においや味・見た目といった「性状」に関わる項目です。

ジェオスミンは、後者に当たります。

だから京都市は、給水を止めずに続けたうえで、においが出ていることを住民に知らせる、という判断をしました。

この判断をどう受け止めるかは、人によって分かれるかもしれません。

ただ、少なくとも京都市は、基準を超えたその期間中に自分から発表し、終わったときには終報まで出しています。

黙って通り過ぎるのを待つ、という対応ではありませんでした。

原因は粉末活性炭の注入能力不足。京都市は設備を増強すると公表している

では、なぜ基準を超えてしまったのか。

ここも、京都市は自分で書いています。

「現有の粉末活性炭注入設備の注入能力が不足していたため」。

思い出してください。

京都市の浄水場は、かび臭が出たときに粉末活性炭を注いで、においを吸着させるやり方でした。

2024年の夏は、その炭を注ぐ設備の能力が、琵琶湖から来るにおいの強さに追いつかなかった、ということです。

対策も公表されています。

「設備更新にあわせて注入能力を増強」。

京都市上下水道局「京都市上下水道局における令和6年度のかび臭発生状況とその対応について」(環境省 水道における微生物問題検討会 提出資料)から抜粋(2026年8月1日確認)

原因を「琵琶湖のせい」で終わらせず、自分の設備の能力不足だと書いて、増強すると公表する。

ここまで書いてある資料が公開されているのは、読む側にとってありがたいことです。

この記事が「京都市の水道水は飲める」と言えるのは、こういう記録が公開されているからです。

2024年夏に京都市で起きたかび臭の時系列。8月15日に広報発表、8月17日に原水のジェオスミンが最大1,400ng/L、8月19日に給水栓で35ng/L(基準は10ng/L以下)、9月4日に基準超過が終了、9月25日に終報。給水は止めず、問合せは81件

正直に言います:京都市が公式に書いていないこと

ここまで公式データを並べてきましたが、調べても分からなかったこともあります。

このブログは「わからないことは、わからないと書く」方針なので、正直に並べます。

ネット上には、公式で確認できない数字がそのまま出回っているものもあるので、その注意も兼ねています。

①浄水場ごとの硬度の違い

蹴上・松ケ崎・新山科で硬度が違うのかどうか、比べやすい形の一覧は公式にありません。

京都市が示しているのは、市全体の代表値としての「硬度40程度」だけです。

年報には個別のデータがありますが、表形式で読み取りづらく、この記事では代表値を使っています。

②硬度40がいつの実測値なのか

硬度のページには、測定した時期の記載がありません。

ですので「2026年の実測値」ではなく「公式が示している代表値」として扱いました。

③残留塩素の実測レンジ

ネット上には「0.3〜0.5mg/L」といった具体的な数字を載せている記事もあります。

ただ、今回こちらが公式で確認できたのは、「蛇口で0.1mg/L以上を検出しなければならない」という下限の義務だけでした。

④老朽水道管の話

「昭和30〜40年代の配管が現役だから水がまずい」という主張を見かけます。

これを裏づける京都市公式のデータ(更新率や耐用年数)は、今回確認できませんでした。

⑤蹴上・松ケ崎の水源が琵琶湖疏水100%かどうか

新山科浄水場については、宇治川からも取水できると明記されています。

いっぽう、蹴上と松ケ崎が琵琶湖疏水だけなのかは、公式に断言されていません。

⑥「そのまま飲めます」という直接の明言

京都市が「水道水はそのまま飲めます」と明言している一次ページは、今回見つけられませんでした。

確認できたのは、「水道の水は安全です」という一般的な案内です。

この記事のタイトルで「飲める」と書いているのは、この案内と、水質検査の記録が公開されていることを根拠にしています。

ここは断言せず、根拠を見せる書き方にとどめておきます。

それでも気になる人の選択肢

ここまで読んで、「安全なのは分かった。でも夏のにおいは気になる」という人もいると思います。

そういう人のために、お金がかからない順に選択肢を並べます。

まず0円でできること(煮沸5〜6分・冷やす)

いちばん先に試してほしいのが、お金のかからない2つです。

1つ目が、公式が案内している煮沸です。

沸騰したあと、蓋をとって5〜6分間煮沸すると、においを低くできると京都市は書いています。

ただし、一度沸かした水道水は消毒効果がなくなるので、早めに使いきってください。

京都市上下水道局「水道なんでもQ&A」から抜粋(2026年8月1日確認)

2つ目が、冷やすことです。

水は冷たいほど、においを感じにくくなると言われています。

ボトルに入れて冷蔵庫で冷やしておくだけなので、手間はほぼゼロ。

こちらも時間がたつと消毒の効果は弱まっていくと言われているので、その日のうちに飲みきるのが安心です。

この2つで気にならなくなるなら、それ以上お金をかける必要はありません。

ちなみに京都市の水道料金は、月20㎥使ったとして約5,027円/月が目安です。

京都市は2ヶ月ごとの検針なので、2ヶ月分の10,054円を2で割った、月あたりの単純計算の目安になります。

京都市上下水道局「水道料金・下水道使用料早見表」をもとに計算(2026年8月1日確認)

浄水器とウォーターサーバーはどう違うのか

0円の方法で足りないときに出てくるのが、浄水器とウォーターサーバーです。

ざっくり整理すると、こうなります。

  • 浄水ポット・蛇口用浄水器 … 本体数千円+カートリッジ代(月数百円ほど)。においのもとをこし取るシンプルな道具
  • 浄水型ウォーターサーバー … 月額定額。水道水を注ぐとフィルターを通し、冷水・温水がすぐ出る
  • 宅配型(ボトル型)ウォーターサーバー … 月額+水代。天然水などのボトルが自宅に届く

京都市の水道水は硬度40程度の軟水で、においの原因も季節が決まっています。

ですので「1年じゅう水質に困っている」というより、「気になる季節がある」という悩み方をしている人が多いはずです。

その場合、いきなり月額のかかるサーバーに飛びつく前に、浄水ポットで足りないかを試すほうが失敗しにくいです。

そのうえで、「冷水も温水もすぐ出るほうがラク」「カートリッジ交換すら面倒」という人には、浄水型ウォーターサーバーが選択肢に入ります。

ただし浄水型にも、正直に知っておくべき欠点があります。

そこを含めて実費で比較した記事がこちらです。

▶ 浄水型ウォーターサーバーのデメリット全部見せ|後悔しない選び方

一人暮らしなら、そもそも必要かどうかから考える

最後に、一人暮らしの人へ。

一人暮らしの水の使用量で考えると、ウォーターサーバーは「必ずしも得ではない」ケースがけっこうあります。

京都市の水道水は硬度40程度の軟水で、においが気になるのも夏を中心とした一部の時期です。

だとすれば、まずは「そもそも自分に必要か」から考えるほうが、お財布にはやさしいはずです。

必要な人・いらない人を、実費ベースで言い切った記事がこちらです。

▶ 一人暮らしにウォーターサーバーはいらない?必要・不要を実費で徹底比較

まとめ:99%が琵琶湖の水でも、京都の水道水は飲める

最後に、この記事の答えを整理します。

京都市の水道水は飲めます。

ただし夏を中心に、においが出る年があります。

京都市の水道水の原水は、約99%が琵琶湖疏水を通じて取られた琵琶湖の水でした。

硬度は40程度の軟水で、公式ページには「非常にまろやかでおいしい水です」と書かれています。

いっぽう、御香水や伏見の酒は地下水で、水道水とは別の水系統。

「名水の都なのに琵琶湖の水」というギャップの正体は、名水を失ったことではなく、名水と水道が用途で分かれていることでした。

そして2024年の夏、京都市の水道水は一度だけ、においの基準(10ng/L以下)を超えました。

給水栓での最高値は35ng/L、基準を超えた日があったのは8月15日から9月4日。

健康に関わる項目ではなくにおいの項目だったため給水は続けられ、京都市は発表から終報まで自分で出しています。

原因は粉末活性炭の注入設備の能力不足で、増強することも公表されています。

読者のタイプ別に、はっきり言い切ります。

京都市の水道水・あなたはどれ?
  • においが気にならない人 … そのままでOK。硬度40程度の軟水で、お茶やコーヒーにも普通に使えます
  • 夏だけ気になる人 … 0円でできる「蓋をとって5〜6分煮沸」と「冷やす」を先に試す。どちらもその日のうちに飲みきるのが前提です
  • においが苦手・毎日つらい人 … 浄水ポット(月数百円)から。それでも面倒なら、浄水型ウォーターサーバーの月額と比べて判断を

京都の水道水は、明治の人が山にトンネルを掘って引いてきた水です。

その水路は、2025年に国宝・重要文化財になってもなお現役で、いまも街に水を届けています。

まずは今日、蛇口の水をコップ1杯そのまま飲んでみてください。

「これが琵琶湖から来た水か」と思うと、少しだけ味わい方が変わるはずです。

やす
やす

京都の水は「名水じゃなかった」んじゃなくて、「名水は地下、水道は琵琶湖」って分かれてただけなんだ。夏のにおいだけ気をつければ、そのままで十分いける。まずは0円の方法から試してみてね!

0円の方法では足りなくて、冷水も温水も毎日使いたくなった人は、こちらで実費を確認してから決めてください。

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