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こんにちは、『ラクして暮らす』運営者のやすです。
このブログでは、各社の公式サイトから料金を実費ベースで計算して比較しています。「契約しない方がいい」という結論も、遠慮なくそのまま書きます。
鹿児島って湧き水のイメージだけど、水道水はまずいって聞いたことがあって…。引っ越してきたばかりだから、そのまま飲んでいいのか分からないんだよね。
その「湧き水の街」ってイメージ、半分だけ当たってるんだ。鹿児島市の水源はなんと92か所もあるんだけど、そのうち川の水を使う3つの浄水場だけで、施設の能力の6割を占めてるんだよ。しかも市の公式サイトは「まずい」の原因を、水源じゃなくて家の中の配管や貯水槽だって説明してるんだ。今日は公式ページとPDFを直接読んで整理したよ。
先に結論をお伝えします。
鹿児島市の水道水は、飲める水として各家庭に届けられています。
硬度は41程度の軟水で、鹿児島市自身が公式に「軟水」と明記しています。
そして「味がおかしい」と感じたときに公式が真っ先に挙げている原因は、水源ではありません。
家の中の配管と、マンションの貯水槽です。
- 鹿児島市の水道水の硬度(41程度の軟水)と、公式の安全宣言の中身
- 水源が92か所もあるのに、川の水が施設能力の6割を占めているという事実
- 「まずい」の原因を鹿児島市の公式FAQで答え合わせした結果
- 今日0円でできる対処(朝はバケツ1杯流す・冷やす)
- 桜島の降灰と8.6水害に、鹿児島の水道がどう備えているか
それでは、くわしく見ていきましょう。
目次
- 1.結論:鹿児島市の水道水は飲める。「まずい」の原因は水源より蛇口の手前にある
- 1.1.鹿児島市の水道水の硬度は41程度の軟水
- 1.2.公式は「全ての水道水は法で定められた水質基準を満足」と明記している
- 2.「湧き水の街」のはずが、水道水の6割は川の水
- 2.1.水源は92か所。川の水を使う3つの浄水場が施設能力の60.3%を占める
- 2.2.大正8年の創設時は湧水100%だった。昭和40年に甲突川の水が入った
- 2.3.一つの水源に頼らない鹿児島は、京都(琵琶湖疏水にほぼ全量)とは対極
- 3.「まずい」と言われる理由を、鹿児島市の公式回答で答え合わせする
- 3.1.①朝一番の水が苦い=宅内配管のサビ。バケツ1杯流せば変わる
- 3.2.②マンションなら貯水槽を疑う。管理は建物の所有者の責任
- 3.3.③水源が100か所以上あるから、地区でミネラルが違う
- 3.4.カルキ臭は法律で決まった塩素消毒。「鹿児島は塩素が多い」に公式の根拠はない
- 4.火山と共存する水道インフラ
- 4.1.桜島の降灰対策=浄水場のろ過池に屋根をかける
- 4.2.平成5年の8.6水害では、7万6,000戸が最長8日間断水した
- 5.正直に言います:鹿児島市が公式に書いていないこと
- 5.1.①浄水場ごと・地区ごとの硬度の一覧
- 5.2.②地区で味やミネラルが違う理由の説明
- 5.3.③水源92か所の内訳
- 5.4.④検査項目193の算出根拠
- 5.5.⑤宅内配管の老朽化の状況
- 6.それでも気になる人の選択肢
- 6.1.まず0円でできること(朝はバケツ1杯流す・冷やす)
- 6.2.浄水器とウォーターサーバーはどう違うのか
- 6.3.一人暮らしなら、そもそも必要かどうかから考える
- 7.まとめ:6割が川の水でも、鹿児島市の水道水は飲める
結論:鹿児島市の水道水は飲める。「まずい」の原因は水源より蛇口の手前にある
結論から言うと、鹿児島市の水道水は、ふつうに飲む水として届けられています。
そして、この記事でいちばん伝えたいのはここから先です。
もしあなたが「鹿児島の水はまずい」と感じているなら、疑うべきは水源ではありません。
鹿児島市の公式FAQは、味の異常の原因として、まず「宅内配管のサビ」と「マンション等の貯水槽」を挙げています。
つまり、浄水場から家までではなく、家の中や建物の中で起きていることが主犯だと市が説明しているのです。
これは、対処法があるという意味でもあります。
くわしくは記事の中盤で、公式の回答をそのまま並べて答え合わせをします。
鹿児島市の水道水の硬度は41程度の軟水
まず、いちばん検索されている「硬度」から答えます。
鹿児島市の水道水は、硬度41程度の軟水です。
硬度とは、水にふくまれるカルシウムとマグネシウムの量を表した数字のこと。
この数字が低いほど「軟水」で、口当たりがまろやかになると言われています。
鹿児島市は公式ページで、WHO(世界保健機関)の基準を持ち出して説明しています。
WHOの区分では、硬度0〜60mg/Lが軟水です。
鹿児島市の水道水は41mg/Lなので、この区分でいえば軟水にあたる、というのが市の公式な説明です。
*鹿児島市水道局「おいしい水指標」から抜粋(2026年8月1日確認)
ここで1つ、正直に補足しておきます。
この41mg/Lという数字は、平成30年度の年間平均値(鴨池新町での測定)です。
「2026年に測ったらぴったり41だった」という意味ではありません。
ですのでこの記事でも、「鹿児島市が公式に示している代表値」として扱います。
そのうえで目安をお伝えすると、硬度41は日本の水道水の中でもやわらかい部類です。
お茶やコーヒー、だしを取る和食と相性がよいと言われるレンジに入ります。
ただし、この数字には大事な但し書きがあります。
鹿児島市の水源は1か所ではないので、住んでいる地区によって水のミネラル量には差があります。
この点は市自身も認めていて、記事の中盤でくわしく扱います。
公式は「全ての水道水は法で定められた水質基準を満足」と明記している
次に、「そもそも飲んでいいのか」という一番の疑問です。
鹿児島市水道局は、味に関するFAQの結びで、こう書いています。
「給水している全ての水道水は、法で定められた水質基準を満足していますので、安心してお使いください」。
*鹿児島市水道局「水道水がいつもと違う味がした場合」から抜粋(2026年8月1日確認)
「一部の地区を除いて」といった条件は付いていません。
市が給水している水道水は全部、法律の水質基準を満たしている、という書き方です。
その裏づけとして、鹿児島市は水質検査の項目数も公開しています。
公式の広報資料には、令和2年4月1日現在で市内69か所・193項目を定期的に検査していると書かれています。
*鹿児島市水道局「くらしの中の水道(令和2年度版)」から抜粋(2026年8月1日確認)
ちなみにこの193という数字については、記事の後半で1つ正直な注記を入れます。
数字そのものは公式に明記されていますが、その内訳の積み上げ方までは公式資料から追えなかったからです。

「湧き水の街」のはずが、水道水の6割は川の水
ここからが、この記事の心臓部です。
鹿児島といえば、湧き水や地下水のイメージが強い土地です。
実際、江戸時代の城下町も、大正時代の近代水道も、湧き水から始まっています。
ところが今の水道水は、その印象とはかなり違う姿をしています。
水源は92か所。川の水を使う3つの浄水場が施設能力の60.3%を占める
鹿児島市が公開している「河頭浄水場更新基本計画」というPDFに、市の水道の全体像が1文でまとまっています。
そこにはこう書かれています。
「水源としては、表流水・湧水・地下水など92か所あり、表流水を利用する河頭浄水場など3浄水場の施設能力は全体の60.3%を占めています」。
*鹿児島市「河頭浄水場(甲系統の浄水施設)更新基本計画」から抜粋(2026年8月1日確認)
ここには2つの事実が同時に入っています。
1つは、水源が92か所もあるということ。
もう1つは、そのうち川の水を使う3つの浄水場だけで、施設能力の6割を占めているということです。
数の上では圧倒的に湧き水や地下水が多いのに、能力でいえば川の水が主力なのです。
同じPDFには、市の規模もまとまっています。
- 給水人口 … 569,700人
- 普及率 … 96.9%
- 施設能力 … 1日あたり296,320㎥
- 水源 … 92か所(令和4年度末現在)
そして、川の水を担当している3つの浄水場がこちらです。
浄水場 | 水源の川 | 施設能力(1日あたり) | 通水 |
|---|---|---|---|
河頭(犬迫町) | 甲突川 | 109,100 ㎥(市内最大) | 昭和40年(1965年)4月 |
滝之神(吉野町) | 稲荷川 | 39,700 ㎥ | 昭和50年(1975年)3月 |
平川(平川町) | 万之瀬川 | 30,000 ㎥ | 平成元年(1989年) |
*鹿児島市「河頭浄水場(甲系統の浄水施設)更新基本計画」/鹿児島市水道局『鹿児島市の水道100年』第2章から抜粋(2026年8月1日確認)
1つ、正直に書いておきます。
「表流水が何%、湧水が何%、地下水が何%」という細かい内訳を探しましたが、公式資料でこちらが確認できたのは「92か所」と「3浄水場で60.3%」まででした。
ネット上には内訳の%を載せている記事もありますが、こちらが一次資料を開いた範囲では裏が取れなかったので、この記事では書きません。
えっ、鹿児島の水道水って川の水がメインなの…!? 湧き水のイメージしかなかった。
1か所あたりの量が小さい水源がたくさんあるから、能力で見ると川の3浄水場が6割になるんだ。「たくさんの小さな水源+大きな川」の二本立てってイメージだね。
大正8年の創設時は湧水100%だった。昭和40年に甲突川の水が入った
この「6割が川の水」という姿は、最初からそうだったわけではありません。
むしろ鹿児島の水道は、湧き水だけで始まっています。
話は江戸時代までさかのぼります。
享保8年(1723年)、藩主の島津継豊が、湧き水を水源にして城下へ水を引きました。
耐圧石管を1,345mつないだ、当時としては大がかりな給水です。
城下町は低湿地で地下水の質が悪く、飲み水に困っていたことが背景にありました。
*鹿児島市水道局「藩政時代の水道」から抜粋(2026年8月1日確認)
そして大正8年(1919年)11月26日、鹿児島市に近代水道が誕生します。
上之原配水池で通水式が行われました。
このときの水源は、七窪水源地の湧き水だけです。
つまり鹿児島市の近代水道は、スタート時点では湧水100%でした。
*鹿児島市水道局「大正時代の水道」/鹿児島市「河頭浄水場(甲系統の浄水施設)更新基本計画」から抜粋(2026年8月1日確認)
転機は昭和40年(1965年)4月です。
河頭浄水場が完成し、甲突川の水がはじめて水道に入りました。
当初の能力は1日20,000㎥でしたが、今では109,100㎥まで拡張されています。
その後、昭和50年に滝之神浄水場、平成元年に平川浄水場が通水しました。
*鹿児島市水道局「昭和時代以降の水道」/鹿児島市水道局『鹿児島市の水道100年』第2章から抜粋(2026年8月1日確認)
湧き水100%で始まった水道が、人口の増加に合わせて川の水を取り込み、いまの姿になった。
これが「湧き水の街なのに6割が川の水」というギャップの正体です。
なお、湧き水が消えたわけではありません。
近代水道の出発点である七窪水源地(下田町)も、江戸時代から城下に水を送っていた冷水水源地(冷水町)も、いまだに現役の水源として使われています。
さらに、環境省の「平成の名水百選」(平成20年6月選定)には、鹿児島県内から4件が選ばれています。
- 甲突池(鹿児島市)
- 唐船峡京田湧水(指宿市)
- 普現堂湧水源(志布志市)
- ジッキョヌホー(大島郡知名町)
*環境省「平成の名水百選」選定一覧から抜粋(2026年8月1日確認)
この中の甲突池は、甲突川の源流とされている池です。
そして甲突川は、市内最大の河頭浄水場の水源になっている川です。
名水百選の池と、蛇口の水が、同じ川でゆるやかにつながっている。
そう考えると、「湧き水の街」というイメージも、まるっきり外れではないのかもしれません。
一つの水源に頼らない鹿児島は、京都(琵琶湖疏水にほぼ全量)とは対極
ここで、このシリーズの別の街と並べてみます。
このブログでは京都市の水道水も同じように調べたのですが、その構造は鹿児島とまったく逆でした。
京都市の水道水の原水は、その約99%が琵琶湖疏水を通じて運ばれてくる琵琶湖の水です。
巨大な水源が1つあって、そこから街全体をまかなう「一極集中型」です。
いっぽう鹿児島市は、92か所の水源に分かれています。
川の3浄水場が能力の6割を持っていて、残りは数多くの湧水や地下水などの水源が支えている形です。
どちらが優れているという話ではありません。
ただ、街のつくりとしてはきれいに対照的です。
- 京都市 … 大きな水源1つに集中。だから水質の変化も市全体に同時に効いてくる
- 鹿児島市 … 小さな水源が多数。だから地区によって水のミネラル量に差が出る
そして、この「地区で差が出る」という性質こそが、鹿児島市で「まずい」「地区で味が違う」という声が出る理由につながっていきます。
京都側の記事もあわせて読むと、日本の水道の作り方に2つのタイプがあることがよく見えます。
▶ 京都市の水道水は飲める?まずい?99%が琵琶湖の水の正体を公式で検証
「まずい」と言われる理由を、鹿児島市の公式回答で答え合わせする
ここからは、「鹿児島の水道水はまずい」という声の中身を分解します。
ありがたいことに、鹿児島市水道局はFAQで、味が変わる原因を4つに整理してくれています。
ネットの噂ではなく、公式の回答で答え合わせをしていきましょう。
①朝一番の水が苦い=宅内配管のサビ。バケツ1杯流せば変わる
まず1つ目、これが一番あてはまる人が多いはずです。
朝起きて最初に出した水や、旅行から帰ってきて久しぶりに出した水が、苦い・渋いと感じることがあります。
鹿児島市の説明では、これは家の中の配管のサビが原因です。
長時間水が動かないと、配管から鉄が溶け出して、苦味や渋味として感じられるようになります。
そして対処法も、公式にはっきり書かれています。
バケツ1杯分(約10L)の水を流してから使う。
*鹿児島市水道局「水道水がいつもと違う味がした場合」から抜粋(2026年8月1日確認)
お金は1円もかかりません。
朝の水がまずいと感じている人は、浄水器を買う前にこれを試すだけで解決してしまうことがあります。
ちなみに、流した水は捨てなくても大丈夫です。
洗濯機に入れる、掃除に使う、植木にやる、といった使い道にまわせば無駄になりません。
なお、同じ理由で、金属由来の「収れん味」(口がキュッとなるような味)も公式に説明されています。
給水管などから鉄・亜鉛・銅が溶け出すことが原因だとされています。
②マンションなら貯水槽を疑う。管理は建物の所有者の責任
2つ目が、マンションやアパートに住んでいる人向けの話です。
鹿児島市のFAQは、味の異常の原因として貯水槽も挙げています。
建物の貯水槽は、夏に水温が上がったり、管理が行き届かなかったりすると、カビや藻類が繁殖することがあるからです。
*鹿児島市水道局「水道水がいつもと違う味がした場合」から抜粋(2026年8月1日確認)
ここで大事なのが、誰が管理する責任を持っているかです。
鹿児島市給水条例第36条により、貯水槽の管理は設置者(建物の所有者など)の責任と定められています。
管理するのは市ではなく、建物の側という決まりになっています。
さらに、貯水槽の大きさで義務の重さが変わります。
- 簡易専用水道(貯水槽が10㎥超) … 年1回以上の法定検査が義務
- 10㎥以下の小規模な貯水槽 … 年1回以上の水質検査と清掃が推奨
*鹿児島市水道局「貯水槽水道の管理」から抜粋(2026年8月1日確認)
つまり、同じ鹿児島市内で同じ水が送られてきていても、建物の管理状態によって蛇口から出る水の状態は変わりうる、ということです。
戸建てとマンションで味が違う気がする、という感覚には根拠があります。
もしマンションで味が気になるなら、管理会社や大家さんに「貯水槽の清掃と検査はいつやりましたか」と聞いてみるのが、いちばん確実な一歩です。
③水源が100か所以上あるから、地区でミネラルが違う
3つ目が、鹿児島市ならではの理由です。
公式FAQは、味の違いの原因として「水源によるミネラルの差」を挙げ、こう説明しています。
鹿児島市には100か所以上の水源があり、それぞれミネラル成分の量が異なる、と。
さらに公式は、こんなことまで書いています。
県外や離島から引っ越してきた人だけでなく、市内での引っ越しでも味の違いについて相談を受けることがある、というのです。
*鹿児島市水道局「水道水がいつもと違う味がした場合」から抜粋(2026年8月1日確認)
これは、かなり誠実な記述だと思います。
「同じ市内でも水の味は変わりますよ」と、市が自分から認めているわけですから。
実際、市が公開している水質の年報を見ると、給水栓(蛇口)で測った硬度は地点によって差があります。
この記事では地点ごとの数値は書きません。
年報の表が読み取りづらく、こちらで正確に転記できる形になっていなかったからです。
数字を推測で書くのはこのブログの方針に反するので、「地区によって差がある」という事実だけをお伝えします。
いずれにせよ、引っ越して味が変わったと感じたのなら、それは気のせいではない可能性が高いということです。
そしてその差は、公式の説明どおり、法律の水質基準を満たした範囲の中での差です。
カルキ臭は法律で決まった塩素消毒。「鹿児島は塩素が多い」に公式の根拠はない
最後は、味ではなく「におい」です。
いわゆるカルキ臭ですね。
鹿児島市の説明では、これは水道法で義務づけられた塩素消毒によるものです。
家庭の蛇口のところで、残留塩素が0.1mg/L以上になるように保つことが、法律で決められています。
そして公式は、朝が一番強く感じられやすいこと、冷やすと感じにくくなることも書いています。
*鹿児島市「カルキくさい臭いがするのはなぜですか」から抜粋(2026年8月1日確認)
ここは誤解されやすいので、はっきり書いておきます。
塩素は「混ざってしまった不純物」ではありません。
蛇口に届くまで水を衛生的に保つために、法律で「入れなさい」と決められているものです。
もう1つ、夏に出やすいのがカビ臭です。
鹿児島市は、夏に藍藻類や放線菌が繁殖することがあると説明したうえで、浄水場の活性炭処理で除去していること、安全性に問題はないことを明記しています。
においを減らす方法として、汲み置きや煮沸も公式に紹介されています。
ただし、そこには但し書きがついています。
汲み置きや煮沸をすると、においと一緒に残留塩素もなくなってしまう、という点です。
*鹿児島市水道局「水道水がいつもと違う臭いがした場合」から抜粋(2026年8月1日確認)
消毒の効果がなくなるので、汲み置きや煮沸をした水は早めに飲みきるのが前提になります。
さて、ここでネット上でよく見る俗説にも触れておきます。
「鹿児島は暖かいから、他県より塩素を多く入れているらしい」という話です。
これについては、鹿児島市の公式FAQや水質のページを読んだ範囲では、そう考える根拠になる記述は見つかりませんでした。
公式が書いているのは「蛇口で0.1mg/L以上」という、水道法で全国共通に定められた決まりだけです。
「鹿児島だけ特別に濃くしている」という説明は、公式のどこにも見当たりませんでした。
これは他県と比べて優れているという話ではなく、単に俗説の裏づけが見つからなかった、という報告です。
朝の水がなんか苦いのって、水源のせいじゃなくてうちの配管のせいだったの…?
その可能性が高いって、市が公式に書いてるんだ。だからまずはバケツ1杯(約10L)流してから使ってみて。それで変わるなら、浄水器を買う前に解決だよ!
火山と共存する水道インフラ
鹿児島の水道には、他の街にはない事情があります。
すぐそばに、活動を続ける桜島があることです。
そして過去には、大雨で浄水場そのものが止まった経験もしています。
ここでは、そのリスクに鹿児島市がどう備えてきたかを見ていきます。
桜島の降灰対策=浄水場のろ過池に屋根をかける
桜島の火山灰は、浄水場にとって現実的な課題です。
灰が屋外のろ過池に降り込むと、水の濁りが増えて、取水を止めなければならなくなるおそれがあるからです。
鹿児島市はこれをリスクとして認識し、シンプルかつ物理的な対策をとりました。
ろ過池などに、屋根(覆蓋)をかけたのです。
- 滝之神浄水場 … 平成25年3月に先行して覆蓋を設置
- 河頭浄水場 … 平成27年度から3か年で、沈でん池の一部とろ過池を覆蓋化
*鹿児島市「河頭浄水場(甲系統の浄水施設)更新基本計画」から抜粋(2026年8月1日確認)
そして、その効果についても記録が残っています。
内閣府が火山の広域降灰について検討した資料には、覆蓋を設置後、供給停止等の影響は生じていないと書かれています。
*内閣府「降灰による影響の想定の考え方(ライフライン/建物・設備分野)(案)」(2019年3月)から抜粋(2026年8月1日確認)
灰が降る街で水道を続けるために、屋根をかける。
言われてみれば当たり前の対策ですが、それを実際にやって、効果まで国の資料に記録されている街はそう多くありません。
平成5年の8.6水害では、7万6,000戸が最長8日間断水した
もう1つ、鹿児島の水道が経験した大きな出来事があります。
平成5年(1993年)8月6日の、いわゆる8.6水害です。
この日、甲突川が増水し、河頭浄水場が全面的に冠水して運転不能になりました。
市内最大の浄水場が止まった影響は、そのまま数字に出ています。
全給水戸数の約40%にあたる7万6,000戸が断水し、長いところでは8日間、水が出ませんでした。
*鹿児島市「河頭浄水場(甲系統の浄水施設)更新基本計画」から抜粋(2026年8月1日確認)
川の水に主力を置くということは、川が荒れたときの影響も受けるということです。
その後、平成15年(2003年)4月1日には川辺ダムの供用が始まりました。
そして今、鹿児島市は河頭浄水場の更新計画を進めています。
この記事で何度も引用しているPDFが、その計画そのものです。
過去に主力浄水場が止まった経験があり、そのうえで水源を92か所に分けて持っている。
「分散」というこの街の構造は、たまたまそうなったわけではなく、こういう歴史の上に立っているわけです。

正直に言います:鹿児島市が公式に書いていないこと
ここまで公式データを並べてきましたが、調べても分からなかったこともあります。
このブログは「わからないことは、わからないと書く」方針なので、正直に並べます。
ネット上には、公式では確認できない数字がそのまま出回っているものもあるので、その注意も兼ねています。
①浄水場ごと・地区ごとの硬度の一覧
「自分の住んでいる地区の硬度が知りたい」という人は多いはずです。
ところが、これが見つかりません。
鹿児島市が公式に示している硬度は、41程度という代表値です。
年報には地点ごとの検査結果が載っていますが、市として「地区別の硬度一覧」に整理した形では公表されていません。
この記事で地点別の数字を書かなかったのは、そのためです。
②地区で味やミネラルが違う理由の説明
公式は「100か所以上の水源があり、ミネラル成分量が異なる」とは書いています。
ただ、なぜその地区の水がそういう成分になるのか、地質などにさかのぼった説明は、今回の調査では公式資料に見当たりませんでした。
ネット上には地質と結びつけた解説もありますが、市の公式見解として確認できたものではありません。
③水源92か所の内訳
表流水・湧水・地下水が、それぞれ何か所で何%なのか。
この内訳は、こちらが確認できた令和4年度末時点の公表資料では「92か所」「3浄水場で60.3%」までしか追えませんでした。
%の内訳を細かく書いている記事もありますが、この記事では裏が取れた範囲にとどめています。
④検査項目193の算出根拠
検査項目が193項目だという記載は公式にあります。
ただ、その193をどう積み上げた数なのかは、公式資料からは追えませんでした。
数字そのものは公式のものなので使いましたが、内訳を分解して説明することはしません。
⑤宅内配管の老朽化の状況
この記事では「味の異常の原因は宅内配管のサビ」という公式の説明を紹介しました。
では市全体でどれくらい配管が古いのか、という統計は、今回は確認できませんでした。
ですので「鹿児島は配管が古いからまずい」といった一般化はしません。
あくまで「自分の家の配管を疑ってみる価値がある」という話です。
それでも気になる人の選択肢
ここまで読んで、「安全なのは分かった。でもやっぱり味が気になる」という人もいると思います。
そういう人のために、お金がかからない順に選択肢を並べます。
まず0円でできること(朝はバケツ1杯流す・冷やす)
いちばん先に試してほしいのが、お金のかからない2つです。
1つ目が、朝いちばんの水を流すこと。
鹿児島市の公式FAQが挙げている、バケツ1杯分(約10L)を流してから使う方法です。
2つ目が、冷やすことです。
公式も、においは冷やすと感じにくくなると説明しています。
ボトルに入れて冷蔵庫で冷やしておくだけなので、手間はほぼゼロです。
*鹿児島市水道局「水道水がいつもと違う味がした場合」/鹿児島市「カルキくさい臭いがするのはなぜですか」から抜粋(2026年8月1日確認)
ただし、汲み置きや煮沸をした水は消毒の効果がなくなるので、その日のうちに飲みきってください。
この2つで気にならなくなるなら、それ以上お金をかける必要はありません。
ちなみに鹿児島市の水道料金は、月20㎥使ったとして月あたり約4,422円が目安です。
鹿児島市は2か月ごとの検針なので、2か月で40㎥使った場合の8,844円(水道5,170円+下水道3,674円)を2で割った、月あたりの単純計算の目安になります。
*鹿児島市「水道料金・下水道使用料早見表(口径13mm一般用・2か月分)」をもとに計算(2026年8月1日確認)
浄水器とウォーターサーバーはどう違うのか
0円の方法で足りないときに出てくるのが、浄水器とウォーターサーバーです。
ざっくり整理すると、こうなります。
- 浄水ポット・蛇口用浄水器 … 本体は数千円程度から、これにカートリッジ代がかかります。においのもとをこし取るシンプルな道具
- 浄水型ウォーターサーバー … 月額定額。水道水を注ぐとフィルターを通し、冷水・温水がすぐ出る
- 宅配型(ボトル型)ウォーターサーバー … 月額+水代。天然水などのボトルが自宅に届く
鹿児島市の水道水は硬度41程度の軟水で、公式が挙げる味の原因も宅内配管や貯水槽が中心でした。
ですので、いきなり月額のかかるサーバーに飛びつく前に、まずは浄水ポットで足りないかを試すほうが失敗しにくいです。
そのうえで、「冷水も温水もすぐ出るほうがラク」「カートリッジ交換すら面倒」という人には、浄水型ウォーターサーバーが選択肢に入ります。
ただし浄水型にも、正直に知っておくべき欠点があります。
そこを含めて実費で比較した記事がこちらです。
▶ 浄水型ウォーターサーバーのデメリット全部見せ|後悔しない選び方
一人暮らしなら、そもそも必要かどうかから考える
最後に、一人暮らしの人へ。
一人暮らしの水の使用量で考えると、ウォーターサーバーは「必ずしも得ではない」ケースがけっこうあります。
鹿児島市の水道水は軟水で、公式も水質基準を満たしていると明記しています。
だとすれば、まずは「そもそも自分に必要か」から考えるほうが、お財布にはやさしいはずです。
必要な人・いらない人を、実費ベースで言い切った記事がこちらです。
▶ 一人暮らしにウォーターサーバーはいらない?必要・不要を実費で徹底比較
そして、鹿児島ならではの注意点を1つ書いておきます。
鹿児島県は離島が多い県です。
ウォーターサーバー各社の公式サイトを調べたところ、種子島・屋久島・奄美などを名指しして対応の可否を書いている会社は見当たりませんでした(2026年8月1日時点)。
離島にお住まいの方は、申し込み前に各社へ直接確認してください。
そのため、自分の住所が対象に入るかどうかは、問い合わせてみないと分からないのが実情です。
まとめ:6割が川の水でも、鹿児島市の水道水は飲める
最後に、この記事の答えを整理します。
鹿児島市の水道水は飲めます。
もし味が気になるなら、疑う順番は水源ではなく蛇口の手前からです。
鹿児島市の水源は92か所に分かれていて、そのうち川の水を使う3つの浄水場が施設能力の60.3%を占めていました。
大正8年の創設時は湧き水100%だった水道が、昭和40年に甲突川の水を取り込み、いまの姿になったからです。
硬度は41程度の軟水で、鹿児島市はWHOの基準を引きながら公式に「軟水」と説明しています。
そして味に関するFAQの結びには、「給水している全ての水道水は、法で定められた水質基準を満足していますので、安心してお使いください」と書かれています。
そのうえで公式が挙げている「味が違う」の原因は、宅内配管のサビ、貯水槽の管理、給水管からの金属の溶出、そして水源ごとのミネラルの差でした。
読者のタイプ別に、はっきり言い切ります。
- とくに気にならない人 … そのままでOK。硬度41程度の軟水で、お茶やコーヒーにも普通に使えます
- 朝いちばんの水だけ気になる人 … 公式おすすめのバケツ1杯(約10L)を流してから使う。これで変わるなら0円で解決です
- マンション・アパートで気になる人 … 貯水槽を疑う。管理は建物の所有者の責任なので、清掃と検査の実施時期を管理会社に確認してみてください
- どうしても毎日つらい人 … まずは浄水ポットから。それでも面倒なら、浄水型ウォーターサーバーの月額と比べて判断を
鹿児島の水道は、湧き水だけで始まり、川の水を迎え入れ、灰が降る空の下で屋根をかけながら続いてきました。
92か所に分かれた水源は、その歴史がそのまま形になったものです。
まずは今日、朝の水をバケツ1杯流してから、コップに1杯くんでみてください。
それだけで印象が変わる人は、けっこう多いはずです。
鹿児島の水道水は「湧き水じゃなかった」んじゃなくて、「湧き水も川の水も両方使ってる」んだ。味が気になるときは、まず家の中の配管と貯水槽を疑ってみてね。0円でできることから試すのがいちばんラクだよ!
0円の方法では足りなくて、冷水も温水も毎日使いたくなった人は、こちらで実費を確認してから決めてください。